連結会計会員向け9:38

連結会計:資本連結・内部取引・未実現損益を整理する

親会社と子会社を一つの企業集団として見るために、資本連結、のれん、非支配株主持分、内部取引の消去、棚卸資産や土地に係る未実現損益の考え方を整理します。連結仕訳と連結精算表の基礎につながる内容です。

連結会計:資本連結・内部取引・未実現損益を整理するの表紙動画の視聴は会員向けです

この講で分かるようになること

個別財務諸表を足し算する前に何を消去・修正するかを説明し、基本的な連結仕訳を組み立てられる。

  • 子会社株式と子会社の純資産を消去する理由を説明できる。
  • のれんと非支配株主持分を区別できる。
  • 内部利益と未実現損益を区別できる。

前提知識

  • 株主資本、無形固定資産ののれん、商品売買の基本。

要点

  1. 連結は親会社と子会社を一つの経済単位として見る。
  2. 子会社株式と子会社の純資産は連結上で相殺消去する。
  3. 親子会社間の売上・仕入や債権債務は内部取引として消去する。
  4. 棚卸資産や土地に含まれる内部利益は、外部に出るまで未実現損益として消去する。

判断のルール

  • 誰と誰の取引かを確認し、グループ内か外部かを判定する。
  • 個別残高をそのまま足すのではなく、重複する投資・資本や内部取引を連結修正する。
  • 未実現損益は、期末にグループ内に残っている資産の部分だけを対象にする。
  • 連結仕訳は各社の帳簿を修正するのではなく、連結上の修正として処理する。

例題

例題1子会社株式と子会社純資産の相殺

親会社P社は、子会社S社株式80%を取得時に480円で取得した。取得時のS社の純資産は、資本金300円、利益剰余金200円である。取得時の連結修正仕訳を示しなさい。差額はのれんとして処理する。

答え(取得時の資本連結)借方:資本金 300円、利益剰余金 200円、のれん 80円/貸方:子会社株式 480円、非支配株主持分 100円

考え方まず、S社の取得時純資産は300円+200円=500円である。親会社の持分は80%なので500円×80%=400円となる。一方、親会社は子会社株式を480円で取得しているため、取得原価480円と親会社持分400円との差額80円はのれんになる。残りの20%は親会社以外の株主の持分なので、500円×20%=100円を非支配株主持分として計上する。したがって、子会社の純資産を取り崩し、子会社株式と非支配株主持分を対応させる仕訳を作る。

確かめ借方合計は300円+200円+80円=580円、貸方合計は480円+100円=580円で一致する。のれん80円、非支配株主持分100円の計算根拠も明確である。

例題2親子会社間の商品売買の消去

親会社P社は、子会社S社に商品を120円で販売した。P社の帳簿では売上120円、S社の帳簿では仕入120円が計上されている。期末時点でこの取引に係る売掛金と買掛金がそれぞれ120円残っている。連結修正仕訳を示しなさい。

答え(内部売上と内部仕入の消去)借方:売上 120円/貸方:売上原価 120円 (内部債権債務の消去)借方:買掛金 120円/貸方:売掛金 120円

考え方この取引は親会社と子会社の間で行われているため、企業集団全体から見れば内部取引である。したがって、外部への売上ではない売上120円と、それに対応する仕入120円は連結上で消去する。ここでは仕入勘定の代わりに売上原価へ振り替えて処理している。また、期末に残っている売掛金120円と買掛金120円も、集団内の貸し借りにすぎないので相殺消去する。個別帳簿では正しいが、連結では重複するため残さない。

確かめ1本目は借方120円、貸方120円で一致する。2本目も借方120円、貸方120円で一致する。売上・売上原価・売掛金・買掛金のいずれもグループ内分だけを消している。

例題3子会社から親会社への販売と期末在庫の未実現損益

子会社S社は親会社P社へ商品を80円で販売した。この商品のS社における原価は50円である。期末に親会社P社はこの商品の半分を外部へ販売し、残り半分を在庫として保有していた。内部売買の消去と、期末在庫に含まれる未実現損益の消去仕訳を示しなさい。

答え(内部売上と内部仕入の消去)借方:売上 80円/貸方:売上原価 80円 (期末在庫に含まれる未実現利益の消去)借方:売上原価 15円/貸方:商品 15円

考え方まず、S社からP社への販売はグループ内取引なので、売上80円と仕入に対応する売上原価80円を連結上で消去する。次に、内部利益を求める。販売価額80円から原価50円を引くと、内部利益は30円である。このうち親会社が外部へ販売できたのは半分なので、残り半分に含まれる利益だけが未実現となる。したがって、未実現損益は30円×1/2=15円である。この15円は期末在庫に含まれているため、連結上は商品を15円減額し、売上原価を15円増額して利益を取り消す。

確かめ1本目は借方80円、貸方80円で一致する。2本目は借方15円、貸方15円で一致する。内部利益30円、未実現部分15円の計算は、原価50円・売価80円・期末残存割合1/2から整合的に求められている。

よくある間違い

子会社株式を連結貸借対照表にそのまま残してしまう。

親子会社間の売上や仕入を外部取引と同じように残してしまう。

未実現損益を、期末在庫に残る部分ではなく内部利益全額で消去してしまう。

のれんと非支配株主持分の意味を混同してしまう。

この講の用語

資本連結しほんれんけつ
親会社の子会社株式と、子会社の純資産を連結上で相殺消去し、企業集団全体の資本の重複をなくす手続をいう。
非支配株主持分ひしはいかぶぬしもちぶん
子会社の純資産や利益のうち、親会社以外の株主に帰属する部分をいう。
のれんのれん
子会社株式の取得原価と、取得時の子会社純資産に対する親会社持分との差額として生じる額をいう。
内部取引ないぶとりひき
親会社と子会社、または連結会社相互間で行われた取引で、連結上は外部取引ではないものをいう。
未実現損益みじつげんそんえき
グループ内取引で生じた利益や損失のうち、期末時点で外部との取引により実現していない部分をいう。
連結精算表れんけつせいさんひょう
各社の個別財務諸表の数値を合算し、連結修正仕訳を反映して連結財務諸表の基礎数値を整理する表をいう。

章立て

  1. 0:00導入この講の到達目標と、問題文を読む出発点を確認します。
  2. 0:22中心概念2級の資本連結、内部取引消去、棚卸資産・土地の未実現損益を扱う。
  3. 1:06重要用語資本連結、非支配株主持分、のれん、内部取引、未実現損益、連結精算表
  4. 1:47基本ルール誰と誰の取引かを確認し、グループ内か外部かを判定する。 個別残高をそのまま足すのではなく、重複する投資・資本や内部取引を連結修正する。 未実現損益は、期末にグループ内に残っている資産の部分だけを対象にする。 連結仕訳は各社の帳簿を修正するのではなく、連結上の修正として処理する。
  5. 2:34判断手順取引事実または計算条件を確認し、使う勘定科目・計算順序・検算の順に進みます。
  6. 3:13確認ケース1親会社P社は、子会社S社株式80%を取得時に480円で取得した。取得時のS社の純資産は、資本金300円、利益剰余金200円である。取得時の連結修正仕訳を示しなさい。差額はのれんとして処理する。
  7. 3:41確認ケース2親会社P社は、子会社S社に商品を120円で販売した。P社の帳簿では売上120円、S社の帳簿では仕入120円が計上されている。期末時点でこの取引に係る売掛金と買掛金がそれぞれ120円残っている。連結修正仕訳を示しなさい。
  8. 5:19確認ケース3子会社S社は親会社P社へ商品を80円で販売した。この商品のS社における原価は50円である。期末に親会社P社はこの商品の半分を外部へ販売し、残り半分を在庫として保有していた。内部売買の消去と、期末在庫に含まれる未実現損益の消去仕訳を示しなさい。
  9. 6:50よくある誤り子会社株式を連結貸借対照表にそのまま残してしまう。 親子会社間の売上や仕入を外部取引と同じように残してしまう。 未実現損益を、期末在庫に残る部分ではなく内部利益全額で消去してしまう。 のれんと非支配株主持分の意味を混同してしまう。
  10. 8:46まとめ連結会計では、親会社と子会社を一つの企業集団として見て、投資と資本、内部取引、未実現損益を整理します。判断の出発点は、取引相手がグループ内か外部かを見分けることです。そのうえで、子会社株式と純資産の相殺、売上や仕入の消去、期末在庫や土地に含まれる内部利益の修正を行います。基本の流れを順に押さえれば、連結仕訳と連結精算表の理解が進みます。
日商簿記2級の学習を続ける

講義・過去問・暗記カード・模試まで、同じ論点でつながっています。

登録は1分・クレジットカード不要。無料のまま練習・暗記カード・模試まで使えます。

「連結会計」の他の講

日商簿記2級の講義一覧をすべて見る