決算・財務諸表会員向け9:07

決算整理と財務諸表:8桁精算表からB/S・P/Lへ

試算表から決算整理、決算整理後残高試算表、8桁精算表を経て、損益計算書と貸借対照表へつなぐ流れを整理します。決算整理仕訳と損益振替の違い、各勘定の表示区分、検算の視点まで確認します。

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この講で分かるようになること

決算整理前の残高から必要な調整を抜き出し、最終的な財務諸表の表示までつなげられる。

  • 決算整理仕訳と損益振替を区別できる。
  • 8桁精算表の各列の役割を説明できる。
  • 資産・負債・純資産と収益・費用の表示を分類できる。

前提知識

  • 簿記3級の決算整理、各資産・負債・収益・費用の基本。

要点

  1. 決算整理は、期末時点の正しい残高へ直す手続である。
  2. 8桁精算表は、整理前から財務諸表表示までをつなぐ橋渡しである。
  3. 勘定の性質により、損益計算書か貸借対照表かを判断する。
  4. 決算整理のあとに損益振替と締切の手続が続く。

判断のルール

  • 資料を読み、決算整理仕訳を起こし、整理後残高を求め、表示へ進む順で処理する。
  • 決算整理仕訳と損益振替は別の手続として区別する。
  • 収益・費用は損益計算書、資産・負債・純資産は貸借対照表へ分類する。
  • 各仕訳では借方合計と貸方合計を必ず一致させる。

例題

例題1前払家賃の決算整理と表示

期末時点で支払家賃の残高は120,000円で、うち翌期分20,000円が含まれている。必要な決算整理仕訳を示し、損益計算書と貸借対照表にどうつながるか考えなさい。

答え(前払分の振替)借方:前払家賃 20,000/貸方:支払家賃 20,000

考え方事実として、支払家賃120,000円の中に翌期分20,000円が含まれている。家賃は当期分だけを費用にし、翌期分は将来の便益なので資産に振り替える必要がある。したがって、費用である支払家賃を減らし、資産である前払家賃を計上する。整理後は支払家賃が100,000円となり損益計算書へ、前払家賃20,000円は貸借対照表へ表示されると判断する。

確かめ仕訳の借方合計20,000円、貸方合計20,000円で一致する。整理後の支払家賃は120,000円−20,000円=100,000円となり、当期費用として自然である。前払家賃20,000円は期末時点の資産として残る。

例題2備品の減価償却と表示区分

備品の取得原価は300,000円、耐用年数5年、残存価額は0円、定額法で減価償却する。前期までの減価償却累計額は180,000円で、当期も1年分を計上する。必要な決算整理仕訳を示し、財務諸表の表示を考えなさい。

答え(当期の減価償却計上)借方:減価償却費 60,000/貸方:減価償却累計額 60,000

考え方取得原価300,000円を5年で配分するので、年間の減価償却費は300,000円÷5年=60,000円である。前期までの累計額180,000円はすでに計上済みなので、当期は追加で60,000円だけを決算整理仕訳として計上する。減価償却費は当期の費用だから損益計算書へ、減価償却累計額は備品の評価勘定として貸借対照表へ表示する。備品の帳簿価額は300,000円−240,000円=60,000円になる。

確かめ仕訳の借方合計60,000円、貸方合計60,000円で一致する。累計額は180,000円+60,000円=240,000円、帳簿価額は300,000円−240,000円=60,000円で整合する。減価償却累計額を費用欄に入れない点も確認できる。

例題3損益振替から繰越利益剰余金への振替

決算整理後、売上400,000円、受取手数料30,000円、仕入250,000円、給料90,000円、減価償却費20,000円であった。まず損益振替を行い、次に当期純利益を繰越利益剰余金へ振り替える仕訳を示しなさい。

答え(収益の振替)借方:売上 400,000、受取手数料 30,000/貸方:損益 430,000 (費用の振替)借方:損益 360,000/貸方:仕入 250,000、給料 90,000、減価償却費 20,000 (当期純利益の振替)借方:損益 70,000/貸方:繰越利益剰余金 70,000

考え方整理後残高が確定したあとは、収益と費用を損益勘定へ集める。収益合計は400,000円+30,000円=430,000円、費用合計は250,000円+90,000円+20,000円=360,000円である。差額70,000円は当期純利益となる。損益振替では、収益勘定を借方に、費用勘定を貸方に振り替えて各勘定を締め切る。損益勘定に残った貸方超過70,000円が利益なので、最後に繰越利益剰余金へ振り替えると判断する。

確かめ第1仕訳は借方430,000円、貸方430,000円で一致する。第2仕訳は借方360,000円、貸方360,000円で一致する。損益勘定の貸方430,000円と借方360,000円の差額は70,000円で、これが第3仕訳の金額と一致する。

よくある間違い

決算整理仕訳と損益振替を一つの仕訳として考えてしまう。

減価償却累計額を費用として損益計算書側に入れてしまう。

棚卸資産の期末残高を売上原価そのものと混同してしまう。

整理後残高を求める前に財務諸表へ直接転記してしまう。

この講の用語

8桁精算表はちけたせいさんひょう
決算整理前の残高、整理記入、整理後残高、損益計算書、貸借対照表への振り分けを一つの表で確認するための集計表。
決算整理後残高試算表けっさんせいりござんだかしさんひょう
決算整理仕訳を反映したあとの各勘定残高を一覧にした試算表。財務諸表作成の基礎になる。
損益振替そんえきふりかえ
収益と費用の各勘定残高を損益勘定へ集めて、当期の利益または損失を確定する締切手続。
帳簿の締切ちょうぼのしめきり
当期の勘定残高を締め切り、次期へ引き継ぐ残高と当期で完結する残高を整理する手続。
株主資本等変動計算書かぶぬししほんとうへんどうけいさんしょ
純資産の各項目が期首から期末にかけてどのように増減したかを示す計算書。

章立て

  1. 0:00導入この講の到達目標と、問題文を読む出発点を確認します。
  2. 0:25中心概念2級の複数論点を含む決算整理、精算表、個別財務諸表の作成を扱う。
  3. 1:17重要用語8桁精算表、決算整理後残高試算表、損益振替、帳簿の締切、株主資本等変動計算書
  4. 2:09基本ルール資料を読み、決算整理仕訳を起こし、整理後残高を求め、表示へ進む順で処理する。 決算整理仕訳と損益振替は別の手続として区別する。 収益・費用は損益計算書、資産・負債・純資産は貸借対照表へ分類する。 各仕訳では借方合計と貸方合計を必ず一致させる。
  5. 2:42判断手順取引事実または計算条件を確認し、使う勘定科目・計算順序・検算の順に進みます。
  6. 3:26確認ケース1期末時点で支払家賃の残高は120,000円で、うち翌期分20,000円が含まれている。必要な決算整理仕訳を示し、損益計算書と貸借対照表にどうつながるか考えなさい。
  7. 3:59確認ケース2備品の取得原価は300,000円、耐用年数5年、残存価額は0円、定額法で減価償却する。前期までの減価償却累計額は180,000円で、当期も1年分を計上する。必要な決算整理仕訳を示し、財務諸表の表示を考えなさい。
  8. 5:11確認ケース3決算整理後、売上400,000円、受取手数料30,000円、仕入250,000円、給料90,000円、減価償却費20,000円であった。まず損益振替を行い、次に当期純利益を繰越利益剰余金へ振り替える仕訳を示しなさい。
  9. 6:30よくある誤り決算整理仕訳と損益振替を一つの仕訳として考えてしまう。 減価償却累計額を費用として損益計算書側に入れてしまう。 棚卸資産の期末残高を売上原価そのものと混同してしまう。 整理後残高を求める前に財務諸表へ直接転記してしまう。
  10. 8:17まとめ決算では、試算表の残高をそのまま使わず、決算整理で期末の正しい金額へ直し、整理後残高を基に損益計算書と貸借対照表を作成します。8桁精算表はその流れを見える形にしたものです。決算整理仕訳、損益振替、表示の順を守り、勘定の性質で分類することが重要です。
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