総合原価計算(2):工程別・仕損減損・副産物まで判断する
工程別総合原価計算で、前工程費の引継ぎ、修正先入先出法の入口判断、正常・異常の仕損減損の負担先、副産物と連産品の区別を整理します。計算表で完成品・月末仕掛品・異常損失のどこに原価を負担させるかを判断できるようにします。
動画の視聴は会員向けですこの講で分かるようになること
工程・仕損・副産物の条件を読み、原価負担先を決めて計算表へ反映できる。
- 平均法と修正先入先出法の入口を区別できる。
- 正常損失と異常損失の負担先を説明できる。
- 副産物と連産品の考え方を区別できる。
前提知識
- 総合原価計算(1)の数量・進捗度・平均法。
ひとつ前の講:総合原価計算(1):完成品と月末仕掛品を平均法で分ける
要点
- 工程が増えると前工程原価が次工程へ引き継がれる。
- 正常損失は良品原価へ負担させる。
- 異常損失は通常、良品原価と分けて扱う。
- 副産物は主産物の製造過程で副次的に生じる。
- 計算表では数量の流れと原価の流れを対応させる。
判断のルール
- 工程の位置を確認する。
- 損失が正常か異常かを判定する。
- 損失や減損の発生点を確認する。
- 完成品・月末仕掛品・異常損失のどこに負担させるかを決める。
例題
例題1二工程で前工程費を引き継ぐ基本判断
第一工程で完成した900個の原価が合計180,000円であり、その全量が第二工程へ振り替えられた。第二工程では当月加工費90,000円を投入し、完成品800個、月末仕掛品100個となった。第二工程の月末仕掛品の加工進捗度は50%である。第二工程で、前工程費と当月加工費を完成品と月末仕掛品へ配分しなさい。なお、仕損・減損はないものとする。
答え前工程費:1個当たり180,000円÷900個=200円 前工程費配分:完成品 800個×200円=160,000円、月末仕掛品 100個×200円=20,000円 加工費完成品換算量:完成品800個+月末仕掛品100個×50%=850個 加工費1個当たり:90,000円÷850個=105.882352…円 加工費配分:完成品 800個×105.882352…円=84,705.88円、月末仕掛品 50個分×105.882352…円=5,294.12円 合計配分:完成品 244,705.88円、月末仕掛品 25,294.12円
考え方まず第二工程では、第一工程から受け継いだ180,000円が前工程費として存在すると読み取る。これは第二工程に入った900個すべてに一様に負担させる。一方、第二工程の当月加工費90,000円は、完成品800個と、加工進捗度50%の月末仕掛品100個を完成品換算量に直して配分する。前工程費は第二工程の入口で全量に付着しているため100個すべてが負担するが、加工費は進捗度に応じて50個分で考える点が判断の分かれ目である。
確かめ前工程費の検算:160,000円+20,000円=180,000円。加工費の検算:84,705.88円+5,294.12円=90,000円。総額の検算:244,705.88円+25,294.12円=270,000円で、180,000円+90,000円と一致する。
例題2正常減損と異常減損の負担先を分ける
第二工程で当月投入数量は1,000個、前工程費を含む総原価は当月分として300,000円である。工程の終点で正常減損50個が見込まれており、実際には減損が80個発生した。月末仕掛品はなく、残りは完成品である。正常減損は完成品に負担させ、異常減損は別に扱うとして、完成品原価と異常減損額を求めなさい。
答え正常減損控除後の正常な良品数量=1,000個-50個=950個 異常減損数量=実際減損80個-正常減損50個=30個 完成品数量=1,000個-80個=920個 正常範囲で負担すべき単位原価=300,000円÷950個=315.789473…円 完成品原価=920個×315.789473…円=290,526.32円 異常減損額=30個×315.789473…円=9,473.68円
考え方問題文から、正常減損50個は通常の製造上避けられない損失であり、良品が負担する。一方、実際減損80個のうち超過した30個は異常減損なので、完成品原価に混ぜず別に扱う。発生点は工程の終点なので、完成品換算量の調整ではなく、正常な良品数量950個を基礎に単位原価を求めればよい。そこから実際の完成品920個へ配分した残り30個分が異常減損額になる。
確かめ検算:290,526.32円+9,473.68円=300,000円。数量の検算:完成品920個+実際減損80個=1,000個。正常基準数量の検算:完成品920個+異常減損30個=950個で、正常減損50個を除いた数量と一致する。
例題3副産物があるときの主産物原価
ある工程で総製造原価が420,000円発生し、主産物Aと副産物Bが得られた。副産物Bは50個生じ、1個当たり見積売却価額800円、追加加工費と販売費は1個当たり100円である。副産物の正味見積額を主産物原価から控除する方法により、主産物Aに負担させる原価を求めなさい。
答え副産物Bの正味見積額=50個×(800円-100円)=35,000円 主産物Aに負担させる原価=420,000円-35,000円=385,000円
考え方まず問題文でBは副産物と示されているため、主産物Aと同じ主要製品として原価配分するのではなく、副産物から見込まれる価額を主産物原価から控除する考え方を用いる。売却価額そのままではなく、追加加工費や販売費を差し引いた正味見積額で評価する点が重要である。したがって、Bの正味見積額35,000円を総製造原価420,000円から差し引き、残額を主産物Aの原価と判断する。
確かめ検算:主産物原価385,000円+副産物正味見積額35,000円=総製造原価420,000円。副産物の計算確認:1個当たり800円-100円=700円、700円×50個=35,000円。
よくある間違い
すべての仕損を同じように完成品へ負担させてしまう。
後工程で前工程費を消してしまう。
副産物を主産物と同じ計算単位でそのまま扱ってしまう。
平均法と修正先入先出法の入口判断を混同する。
発生点を見ずに仕損数量だけで処理してしまう。
この講の用語
- 工程別総合原価計算こうていべつそうごうげんかけいさん
- 製品が複数の工程を順に通過する場合に、工程ごとに原価を集計し、次工程へ引き継いでいく総合原価計算。
- 修正先入先出法しゅうせいさきいれさきだしほう
- 月初仕掛品をまず完成させる考え方をとりつつ、2級の範囲で用いる先入先出の処理方法。
- 正常仕損せいじょうしそん
- 通常の製造条件のもとで避けがたく発生すると考えられる仕損で、通常は良品原価が負担する。
- 異常仕損いじょうしそん
- 通常とはいえない原因で発生した仕損で、通常は良品原価に含めず別に扱う。
- 副産物ふくさんぶつ
- 主産物の製造過程で副次的に生じる産物で、主産物とは重要性や扱いが異なる。
- 連産品れんさんぴん
- 同一の製造過程から分離して得られる複数の主要な産物。副産物とは区別して考える。
章立て
- 0:00導入この講の到達目標と、問題文を読む出発点を確認します。
- 0:24中心概念2級の工程別計算、仕損減損、副産物・連産品の基本判断を扱う。
- 1:07重要用語工程別総合原価計算、修正先入先出法、正常仕損、異常仕損、副産物、連産品
- 1:55基本ルール工程の位置を確認する。 損失が正常か異常かを判定する。 損失や減損の発生点を確認する。 完成品・月末仕掛品・異常損失のどこに負担させるかを決める。
- 2:23判断手順取引事実または計算条件を確認し、使う勘定科目・計算順序・検算の順に進みます。
- 3:08確認ケース1第一工程で完成した900個の原価が合計180,000円であり、その全量が第二工程へ振り替えられた。第二工程では当月加工費90,000円を投入し、完成品800個、月末仕掛品100個となった。第二工程の月末仕掛品の加工進捗度は50%である。第二工程で、前工程費と当月加工費を完成品と月末仕掛品へ配分しなさい。なお、仕損・減損はないものとする。
- 3:38確認ケース2第二工程で当月投入数量は1,000個、前工程費を含む総原価は当月分として300,000円である。工程の終点で正常減損50個が見込まれており、実際には減損が80個発生した。月末仕掛品はなく、残りは完成品である。正常減損は完成品に負担させ、異常減損は別に扱うとして、完成品原価と異常減損額を求めなさい。
- 5:27確認ケース3ある工程で総製造原価が420,000円発生し、主産物Aと副産物Bが得られた。副産物Bは50個生じ、1個当たり見積売却価額800円、追加加工費と販売費は1個当たり100円である。副産物の正味見積額を主産物原価から控除する方法により、主産物Aに負担させる原価を求めなさい。
- 7:07よくある誤りすべての仕損を同じように完成品へ負担させてしまう。 後工程で前工程費を消してしまう。 副産物を主産物と同じ計算単位でそのまま扱ってしまう。 平均法と修正先入先出法の入口判断を混同する。 発生点を見ずに仕損数量だけで処理してしまう。
- 8:57まとめ総合原価計算の応用では、どこで発生した原価をどこへ負担させるかの判断が中心です。前工程費は次工程へ引き継ぎ、正常損失は良品へ、異常損失は通常別に扱います。また、副産物と連産品は意味が違うため、問題文の用語を丁寧に読むことが重要です。工程、正常・異常、発生点、負担先の順に整理すれば、計算表の判断が安定します。
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