標準原価・直接原価・CVP会員向け9:27

標準原価計算:標準原価差異を損益へつなげる

標準原価、実際原価、原価差異を結び付け、完成品・月末仕掛品・売上原価を標準原価で整理したうえで、差異を月次損益計算書へ反映する流れを学びます。

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この講で分かるようになること

標準原価と実際原価の差を原価差異として捉え、月末仕掛品と損益計算書へ反映できる。

  • 標準原価計算を用いる目的を説明できる。
  • 材料費差異と加工費差異の計算構造を理解する。
  • 差異を売上原価へ処理する意味を説明できる。

前提知識

  • 総合原価計算、製造間接費、月次損益計算書の基本。

要点

  1. 標準原価はあらかじめ定めた目標原価である。
  2. 標準と実際の差を原価差異として把握すると管理情報になる。
  3. 月末仕掛品は進捗度と標準単価を使って標準原価で評価する。
  4. 完成品と月末仕掛品を標準原価で整理した後、差異を損益へ反映する。

判断のルール

  • 標準単価を確認してから、標準数量や進捗度を用いて標準原価を計算する。
  • 標準原価と実際原価の差を標準原価差異として求める。
  • 差異を全額売上原価へ賦課して月次損益計算書へつなげる。
  • 材料費と加工費は、月末仕掛品で進捗度の扱いを分けて確認する。

例題

例題1完成品と月末仕掛品を標準原価で求める

ある製品の標準原価は、材料費1個300円、加工費1個200円である。当月は完成品400個、月末仕掛品100個で、月末仕掛品の加工費進捗度は50%、材料は工程の始めに全量投入する。このとき、完成品原価と月末仕掛品原価を標準原価で求めなさい。

答え完成品原価=400個×(300円+200円)=200,000円 月末仕掛品原価=材料費100個×300円+加工費100個×50%×200円=30,000円+10,000円=40,000円

考え方まず標準原価は1個あたり材料費300円、加工費200円なので合計500円と判断する。完成品は400個すべて完成しているため、400個分をそのまま標準原価で評価する。月末仕掛品は未完成なので、材料費は始点投入なら100%、加工費は進捗度50%だけ負担していると見る。したがって、材料費は100個分全額、加工費は100個の半分相当で計算する。

確かめ当月の標準換算では、材料費は完成品400個+仕掛品100個=500個分で150,000円、加工費は完成品400個+仕掛品100個×50%=450個分で90,000円、合計240,000円。完成品200,000円+月末仕掛品40,000円=240,000円となり一致する。

例題2標準原価差異を全額売上原価へ反映する

ある月の標準原価による完成品原価は300,000円、月末仕掛品原価は60,000円であった。当月製造にかかった実際原価は370,000円である。完成品はすべて売れたものとし、標準原価差異を全額売上原価へ賦課する。このとき、標準原価差異と修正後の売上原価を求めなさい。

答え当月投入分の標準原価総額=完成品原価300,000円+月末仕掛品原価60,000円=360,000円 標準原価差異=実際原価370,000円-標準原価360,000円=10,000円(不利差異) 修正後の売上原価=標準原価による売上原価300,000円+10,000円=310,000円

考え方まず、実際原価と比較する相手は完成品原価だけではなく、当月製造分全体の標準原価であると判断する。そのため、完成品300,000円と月末仕掛品60,000円を合計して360,000円を求める。次に、実際原価370,000円のほうが大きいので10,000円の不利差異と分かる。差異は全額売上原価へ賦課する条件なので、標準原価による売上原価300,000円に10,000円を加えて修正後の売上原価を出す。

確かめ標準原価総額360,000円に不利差異10,000円を加えると実際原価370,000円となる。差異を月末仕掛品ではなく全額売上原価へ反映する条件なので、売上原価の修正額は10,000円でよい。

例題3月次損益計算書の売上総利益までつなげる

売上高は520,000円である。標準原価による売上原価は280,000円、当月の標準原価差異は8,000円の有利差異で、差異は全額売上原価へ賦課する。このとき、修正後の売上原価と売上総利益を求めなさい。

答え修正後の売上原価=280,000円-8,000円=272,000円 売上総利益=520,000円-272,000円=248,000円

考え方有利差異とは、実際原価が標準原価より少なく済んだことを意味する。したがって、売上原価へ反映するときは標準原価による売上原価を減額する方向で考える。標準原価による売上原価280,000円から有利差異8,000円を差し引いて272,000円とする。その後、売上高520,000円から修正後の売上原価272,000円を控除して売上総利益を求める。

確かめ売上高520,000円-売上総利益248,000円=272,000円となり、修正後の売上原価と一致する。また、有利差異なので売上原価が標準額より小さくなる判断とも整合する。

よくある間違い

標準原価を実際原価の見積額とだけ考え、管理基準としての意味を見落とす。

有利差異・不利差異の判断と、借方・貸方の向きを同じものと考えて混同する。

月末仕掛品で加工費の進捗度を無視してしまう。

完成品と月末仕掛品を標準原価で計算する前に、差異計算へ進んでしまう。

この講の用語

標準原価ひょうじゅんげんか
あらかじめ定めた目標となる原価で、製品評価や原価管理の基準になる原価。
実際原価じっさいげんか
実際に発生した材料費や加工費にもとづいて計算される原価。
原価差異げんかさい
標準原価と実際原価との差額で、有利差異または不利差異として把握する。
月末仕掛品げつまつしかかりひん
月末時点でまだ完成していない製品で、進捗度を考慮して評価する。
月次損益計算書げつじそんえきけいさんしょ
月ごとの売上高、売上原価、売上総利益などを示し、差異の反映先として用いる計算書。

章立て

  1. 0:00導入この講の到達目標と、問題文を読む出発点を確認します。
  2. 0:27中心概念2級の標準原価計算、標準原価差異、基本的な会計処理を扱う。
  3. 1:18重要用語標準原価、実際原価、原価差異、月末仕掛品、月次損益計算書
  4. 2:11基本ルール標準単価を確認してから、標準数量や進捗度を用いて標準原価を計算する。 標準原価と実際原価の差を標準原価差異として求める。 差異を全額売上原価へ賦課して月次損益計算書へつなげる。 材料費と加工費は、月末仕掛品で進捗度の扱いを分けて確認する。
  5. 2:36判断手順取引事実または計算条件を確認し、使う勘定科目・計算順序・検算の順に進みます。
  6. 3:29確認ケース1ある製品の標準原価は、材料費1個300円、加工費1個200円である。当月は完成品400個、月末仕掛品100個で、月末仕掛品の加工費進捗度は50%、材料は工程の始めに全量投入する。このとき、完成品原価と月末仕掛品原価を標準原価で求めなさい。
  7. 3:59確認ケース2ある月の標準原価による完成品原価は300,000円、月末仕掛品原価は60,000円であった。当月製造にかかった実際原価は370,000円である。完成品はすべて売れたものとし、標準原価差異を全額売上原価へ賦課する。このとき、標準原価差異と修正後の売上原価を求めなさい。
  8. 5:31確認ケース3売上高は520,000円である。標準原価による売上原価は280,000円、当月の標準原価差異は8,000円の有利差異で、差異は全額売上原価へ賦課する。このとき、修正後の売上原価と売上総利益を求めなさい。
  9. 6:58よくある誤り標準原価を実際原価の見積額とだけ考え、管理基準としての意味を見落とす。 有利差異・不利差異の判断と、借方・貸方の向きを同じものと考えて混同する。 月末仕掛品で加工費の進捗度を無視してしまう。 完成品と月末仕掛品を標準原価で計算する前に、差異計算へ進んでしまう。
  10. 8:35まとめ標準原価計算では、まず完成品と月末仕掛品を標準原価で評価し、その後に実際原価との差を原価差異として把握します。さらに差異を売上原価へ反映することで、月次損益計算書へつなげます。標準単価、進捗度、差異、損益への反映という順序を守ることが得点のポイントです。
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