総合原価計算会員向け12:24

総合原価計算(1):完成品と月末仕掛品を平均法で分ける

大量・連続生産で使う総合原価計算について、単純総合原価計算と組別総合原価計算の基本、平均法による完成品原価と月末仕掛品原価の配分、材料と加工費の進捗度の違い、原価計算表の見方を整理します。数量の流れから完成品換算量、単位当たり原価、配分額までを一つの流れで理解できる内容です。

総合原価計算(1):完成品と月末仕掛品を平均法で分けるの表紙動画の視聴は会員向けです

この講で分かるようになること

生産データを完成品と月末仕掛品に分け、平均法で完成品原価と仕掛品原価を計算できる。

  • 材料と加工費の進捗度を区別できる。
  • 単純・等級別・組別の違いを説明できる。
  • 原価計算表の数量欄と金額欄を対応させられる。

前提知識

  • 原価三要素、仕掛品、単位当たり原価の基本。

要点

  1. 総合原価計算は同種製品を大量・連続生産するときに用いる。
  2. 平均法では、月初仕掛品原価と当月製造費用を合計して平均する。
  3. 完成品と月末仕掛品に原価を配分するのが中心である。
  4. 材料と加工費では月末仕掛品の進捗度が異なることがある。

判断のルール

  • 数量の流れを先に整理する。
  • 材料費と加工費それぞれについて完成品換算量を求める。
  • 単位当たり原価を計算してから完成品原価と月末仕掛品原価へ配分する。
  • 数量合計と金額合計の一致を最後に確認する。

例題

例題1単純総合原価計算で完成品と月末仕掛品を分ける

ある製品を大量生産している。月初仕掛品は20個、当月投入は180個、合計200個である。当月完成は150個、月末仕掛品は50個であった。材料は工程の始めに全量投入、加工費の月末仕掛品進捗度は40%とする。月初仕掛品原価は材料費2,400円、加工費1,600円、当月製造費用は材料費21,600円、加工費14,400円である。平均法により、完成品原価と月末仕掛品原価を求めなさい。

答え材料費の完成品換算量=150個+50個×100%=200個 加工費の完成品換算量=150個+50個×40%=170個 材料費単位当たり原価=(2,400円+21,600円)÷200個=120円 加工費単位当たり原価=(1,600円+14,400円)÷170個=94.117647…円 完成品原価=150個×120円+150個×94.117647…円=18,000円+14,117.647…円=32,117.647…円 月末仕掛品原価=50個×120円+50個×40%×94.117647…円=6,000円+1,882.352…円=7,882.352…円 よって、完成品原価は32,118円、月末仕掛品原価は7,882円(円未満四捨五入)

考え方まず数量の流れを確認すると、20個+180個=200個が、完成150個と月末仕掛品50個に分かれており一致している。次に、材料は工程始点投入なので月末仕掛品も材料については100%として扱う。一方、加工費は進捗度40%なので、月末仕掛品50個を20個分に換算する。平均法なので、月初仕掛品原価と当月製造費用を合計して単位当たり原価を計算し、その原価を完成品と月末仕掛品へ配分する。

確かめ金額の合計は、材料費24,000円+加工費16,000円=40,000円。配分額は完成品32,118円+月末仕掛品7,882円=40,000円となり一致する。数量も200個=150個+50個で一致している。

例題2組別総合原価計算でA組とB組を分けて考える

同じ工程でA組製品とB組製品を生産している。A組は月初仕掛品10個、当月投入90個、完成80個、月末仕掛品20個。B組は月初仕掛品5個、当月投入45個、完成40個、月末仕掛品10個である。材料はどちらも工程始めに全量投入、加工費の月末仕掛品進捗度はA組50%、B組30%。A組の原価は、月初仕掛品が材料費1,000円・加工費600円、当月製造費用が材料費9,000円・加工費5,400円。B組の原価は、月初仕掛品が材料費500円・加工費300円、当月製造費用が材料費4,500円・加工費2,700円。平均法により各組の完成品原価を求めなさい。

答えA組 材料費換算量=80個+20個×100%=100個 加工費換算量=80個+20個×50%=90個 材料費単位当たり原価=(1,000円+9,000円)÷100個=100円 加工費単位当たり原価=(600円+5,400円)÷90個=66.666…円 A組完成品原価=80個×100円+80個×66.666…円=8,000円+5,333.333…円=13,333.333…円 よってA組完成品原価は13,333円 B組 材料費換算量=40個+10個×100%=50個 加工費換算量=40個+10個×30%=43個 材料費単位当たり原価=(500円+4,500円)÷50個=100円 加工費単位当たり原価=(300円+2,700円)÷43個=69.767…円 B組完成品原価=40個×100円+40個×69.767…円=4,000円+2,790.698…円=6,790.698…円 よってB組完成品原価は6,791円(円未満四捨五入)

考え方この問題では、A組とB組を混ぜずに別々の原価計算表として考えることが重要である。各組ごとに数量の流れを確認すると、A組は10個+90個=100個で、完成80個と月末20個に一致する。B組は5個+45個=50個で、完成40個と月末10個に一致する。材料はどちらも始点投入なので月末仕掛品も100%、加工費だけ進捗度を掛けて換算量を求める。平均法なので、各組とも月初仕掛品原価と当月製造費用を合計してから単位当たり原価を出す。

確かめA組総原価は1,000円+600円+9,000円+5,400円=16,000円。月末仕掛品原価は20個×100円+20個×50%×66.666…円=2,666.666…円で、完成品13,333.333…円と合計して16,000円。B組総原価は500円+300円+4,500円+2,700円=8,000円。月末仕掛品原価は10個×100円+10個×30%×69.767…円=1,209.302…円で、完成品6,790.698…円と合計して8,000円。

例題3原価計算表で数量欄と金額欄の対応を確認する

単純総合原価計算の資料として、月初仕掛品30個、当月投入120個、完成120個、月末仕掛品30個が与えられている。材料は工程始めに投入、加工費の月末仕掛品進捗度は60%。月初仕掛品原価は材料費1,500円、加工費900円、当月製造費用は材料費6,000円、加工費5,100円である。平均法により、材料費と加工費それぞれの月末仕掛品原価、および完成品原価を求めなさい。

答え数量確認=30個+120個=150個、完成120個+月末30個=150個 材料費換算量=120個+30個×100%=150個 加工費換算量=120個+30個×60%=138個 材料費単位当たり原価=(1,500円+6,000円)÷150個=50円 加工費単位当たり原価=(900円+5,100円)÷138個=43.478260…円 月末仕掛品原価 材料費=30個×50円=1,500円 加工費=30個×60%×43.478260…円=782.608…円 合計=2,282.608…円 完成品原価 材料費=120個×50円=6,000円 加工費=120個×43.478260…円=5,217.391…円 合計=11,217.391…円 よって、月末仕掛品原価は2,283円、完成品原価は11,217円(円未満四捨五入)

考え方最初に数量欄を確認し、投入総数量150個が完成120個と月末30個に分かれていることを確かめる。次に、材料は始点投入なので月末仕掛品も100%で換算するが、加工費は進捗度60%だけ完成品換算量に含める。平均法であるため、月初仕掛品と当月製造費用を足してから、材料費と加工費をそれぞれ別に単位当たり原価へ直す。その後、完成品と月末仕掛品へ配分すればよい。

確かめ総原価は材料費7,500円+加工費6,000円=13,500円。配分額は月末仕掛品2,282.608…円+完成品11,217.391…円=13,500円で一致する。材料費だけ見ても1,500円+6,000円=7,500円、配分は1,500円+6,000円で一致し、加工費も900円+5,100円=6,000円、配分は782.608…円+5,217.391…円=6,000円で一致する。

よくある間違い

月末仕掛品の数量を材料費も加工費も同じ100%で計算してしまう。

材料費と加工費に同じ進捗度を使ってしまう。

数量欄の合計一致を確認せずに金額計算へ進んでしまう。

組別の問題で各組の数量や原価資料を混同してしまう。

この講の用語

総合原価計算そうごうげんかけいさん
同種製品を大量かつ連続的に生産する場合に、一定期間の製造原価をまとめて集計し、完成品と月末仕掛品に配分する原価計算。
月末仕掛品げつまつしかかりひん
月末時点でまだ完成していない製品で、未完成部分を含めて原価配分の対象となるもの。
平均法へいきんほう
月初仕掛品原価と当月製造費用を合計し、その期間の完成品換算量で割って単位当たり原価を求める方法。
完成品換算量かんせいひんかんさんりょう
月末仕掛品を完成品とみなした場合に何個分に当たるかを示す数量で、進捗度を掛けて求める。
組別総合原価計算くみべつそうごうげんかけいさん
同じ工程で複数の組製品を作る場合に、組ごとに数量や原価を区別して計算する総合原価計算。

章立て

  1. 0:00導入この講の到達目標と、問題文を読む出発点を確認します。
  2. 0:25中心概念2級の総合原価計算の基礎、組別、平均法、月末仕掛品を扱う。
  3. 1:13重要用語総合原価計算、月末仕掛品、平均法、完成品換算量、組別総合原価計算
  4. 2:06基本ルール数量の流れを先に整理する。 材料費と加工費それぞれについて完成品換算量を求める。 単位当たり原価を計算してから完成品原価と月末仕掛品原価へ配分する。 数量合計と金額合計の一致を最後に確認する。
  5. 3:01判断手順取引事実または計算条件を確認し、使う勘定科目・計算順序・検算の順に進みます。
  6. 3:41確認ケース1ある製品を大量生産している。月初仕掛品は20個、当月投入は180個、合計200個である。当月完成は150個、月末仕掛品は50個であった。材料は工程の始めに全量投入、加工費の月末仕掛品進捗度は40%とする。月初仕掛品原価は材料費2,400円、加工費1,600円、当月製造費用は材料費21,600円、加工費14,400円である。平均法により、完成品原価と月末仕掛品原価を求めなさい。
  7. 4:12確認ケース2同じ工程でA組製品とB組製品を生産している。A組は月初仕掛品10個、当月投入90個、完成80個、月末仕掛品20個。B組は月初仕掛品5個、当月投入45個、完成40個、月末仕掛品10個である。材料はどちらも工程始めに全量投入、加工費の月末仕掛品進捗度はA組50%、B組30%。A組の原価は、月初仕掛品が材料費1,000円・加工費600円、当月製造費用が材料費9,000円・加工費5,400円。B組の原価は、月初仕掛品が材料費500円・加工費300円、当月製造費用が材料費4,500円・加工費2,700円。平均法により各組の完成品原価を求めなさい。
  8. 6:26確認ケース3単純総合原価計算の資料として、月初仕掛品30個、当月投入120個、完成120個、月末仕掛品30個が与えられている。材料は工程始めに投入、加工費の月末仕掛品進捗度は60%。月初仕掛品原価は材料費1,500円、加工費900円、当月製造費用は材料費6,000円、加工費5,100円である。平均法により、材料費と加工費それぞれの月末仕掛品原価、および完成品原価を求めなさい。
  9. 8:41よくある誤り月末仕掛品の数量を材料費も加工費も同じ100%で計算してしまう。 材料費と加工費に同じ進捗度を使ってしまう。 数量欄の合計一致を確認せずに金額計算へ進んでしまう。 組別の問題で各組の数量や原価資料を混同してしまう。
  10. 11:35まとめ総合原価計算では、まず数量の流れを整理し、平均法で完成品換算量と単位当たり原価を求め、完成品と月末仕掛品へ原価を配分します。特に材料と加工費の進捗度の違いを正しく見分けること、数量欄と金額欄の対応を確認することが重要です。単純でも組別でも、基本手順を同じ順番で丁寧に進めることが得点の土台になります。
日商簿記2級の学習を続ける

講義・過去問・暗記カード・模試まで、同じ論点でつながっています。

登録は1分・クレジットカード不要。無料のまま練習・暗記カード・模試まで使えます。

「総合原価計算」の他の講

日商簿記2級の講義一覧をすべて見る

総合原価計算(1):完成品と月末仕掛品を平均法で分ける|日商簿記2級の講義|ukamiru