個別原価計算会員向け9:48

個別原価計算:製造指図書から製品原価へ

受注ごとに異なる製品を作るときの個別原価計算について、製造指図書、原価計算表、直接費の直課、製造間接費の配賦、仕損費、作業屑までを一連の流れで整理します。指図書別に完成品原価を求める考え方を、第4問で使える形で確認します。

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この講で分かるようになること

製造指図書ごとに直接費と配賦された間接費を集計し、完成品原価を計算できる。

  • 個別原価計算を使う製造形態を説明できる。
  • 仕損費をどの指図書や部門へ負担させるかを判断できる。
  • 作業屑を原価からどのように控除するかを考えられる。

前提知識

  • 原価三要素、製造間接費の予定配賦。

要点

  1. 個別原価計算は注文や製造指図書ごとに原価を追跡する。
  2. 直接費は指図書へ直課し、製造間接費は配賦基準にもとづいて配賦する。
  3. 完成した指図書は製品へ振り替え、未完成のものは仕掛品として残る。
  4. 仕損費の負担先の違いによって各指図書の原価が変わる。
  5. 作業屑は発生源が特定できるかどうかで控除先を判断する。

判断のルール

  • まず製造指図書を特定し、どの原価がどの指図書に結びつくかを確認する。
  • 直接材料費と直接労務費は指図書へ直課する。
  • 製造間接費は予定配賦率などを用いて各指図書へ配賦する。
  • 仕損費と作業屑は発生原因や発生先を見て負担先を決める。
  • 完成した指図書だけを製品へ振り替え、未完成分は仕掛品に残す。

例題

例題12つの指図書に直接費と間接費を集計する例

製造指図書101と102がある。指図書101の直接材料費は30,000円、直接労務費は20,000円、作業時間は10時間。指図書102の直接材料費は18,000円、直接労務費は12,000円、作業時間は6時間。製造間接費は作業時間1時間あたり2,000円で配賦する。両方とも未完成である。各指図書の当月までの製造原価を求めよ。

答え指図書101:直接材料費30,000円+直接労務費20,000円+製造間接費20,000円=70,000円 指図書102:直接材料費18,000円+直接労務費12,000円+製造間接費12,000円=42,000円

考え方まず、直接材料費と直接労務費は、それぞれどの指図書に使ったかが明らかなので直課する。次に、製造間接費は作業時間を配賦基準とするので、指図書101は10時間×2,000円、指図書102は6時間×2,000円で配賦する。今回はどちらも未完成なので、求めるのは完成品原価ではなく、各指図書に集計された当月までの製造原価であると判断する。

確かめ製造間接費の合計は20,000円+12,000円=32,000円で、総作業時間16時間×2,000円=32,000円と一致する。総原価も70,000円+42,000円=112,000円となり、直接材料費48,000円+直接労務費32,000円+間接費32,000円=112,000円と一致する。

例題2片方だけ完成したときの完成品原価

指図書201の原価計算表には、直接材料費40,000円、直接労務費24,000円、配賦製造間接費16,000円が集計されている。指図書202には、直接材料費25,000円、直接労務費15,000円、配賦製造間接費10,000円が集計されている。当月末に指図書201のみ完成し、指図書202は未完成であった。完成品原価と月末仕掛品原価を求めよ。

答え完成品原価:指図書201の80,000円 月末仕掛品原価:指図書202の50,000円

考え方問題文では、両方の指図書についてすでに原価計算表の金額が集計されている。次に見るべき事実は、どちらが完成したかである。完成した指図書201は、材料費40,000円、労務費24,000円、間接費16,000円の合計80,000円が完成品原価になる。一方、未完成の指図書202は、合計50,000円をそのまま月末仕掛品原価として残す。個別原価計算では、完成の有無で製品か仕掛品かが分かれると判断する。

確かめ指図書201は40,000円+24,000円+16,000円=80,000円、指図書202は25,000円+15,000円+10,000円=50,000円。合計130,000円は、完成品80,000円と仕掛品50,000円の合計130,000円に一致する。

例題3仕損と作業屑を指図書別に考える例

指図書301について、当月に直接材料費50,000円、直接労務費30,000円、配賦製造間接費20,000円が集計された。さらに、この指図書に特定できる仕損費8,000円が発生した。また、この指図書から生じた作業屑を2,000円で処分できると見積もった。指図書301の最終的な製造原価を求めよ。

答え指図書301の最終的な製造原価:50,000円+30,000円+20,000円+8,000円-2,000円=106,000円

考え方最初に、通常の原価三要素として直接材料費、直接労務費、配賦製造間接費を合計する。次に、仕損費がこの指図書に特定できるという事実から、他の指図書ではなく指図書301に負担させると判断する。さらに、作業屑もこの指図書から生じたことが明らかなので、その評価額2,000円は指図書301の原価から控除する。したがって、原価三要素の合計100,000円に仕損費8,000円を加え、作業屑2,000円を差し引いて最終原価を求める。

確かめ原価三要素の合計は50,000円+30,000円+20,000円=100,000円。これに仕損費8,000円を加えると108,000円、作業屑2,000円を控除して106,000円となる。加算項目と控除項目の方向が逆になっていないか確認する。

よくある間違い

直接材料費や直接労務費までまとめて製造間接費としてしまう。

完成した指図書にだけ製造間接費を配賦し、未完成の指図書を無視してしまう。

仕損費の原因を確認せず、どの指図書にも結びつけないまま処理してしまう。

作業屑の評価額を原価から控除せず、原価を過大にしてしまう。

原価計算表の合計と仕掛品・製品の金額のつながりを確認しない。

この講の用語

個別原価計算こべつげんかけいさん
受注や製造指図書ごとに、材料費・労務費・間接費を集計して製品原価を計算する方法。
製造指図書せいぞうさしずしょ
どの製品をどの注文として製造するかを示す単位で、個別原価計算の集計の中心になる書類。
原価計算表げんかけいさんひょう
指図書ごとに直接材料費、直接労務費、製造間接費などを集計し、完成原価を示す表。
直課ちょっか
どの指図書に発生したかが明らかな原価を、その指図書へ直接集計すること。
仕損費しそこないひ
製造過程で生じた仕損に関する原価で、原因や発生場所に応じて指図書や部門へ負担させる。
作業屑さぎょうくず
製造中に生じる切れ端や残材などで、評価額を原価から控除する場面がある。

章立て

  1. 0:00導入この講の到達目標と、問題文を読む出発点を確認します。
  2. 0:23中心概念2級の個別原価計算、原価計算表、仕損・作業屑の基本を扱う。
  3. 1:08重要用語個別原価計算、製造指図書、原価計算表、直課、仕損費、作業屑
  4. 1:55基本ルールまず製造指図書を特定し、どの原価がどの指図書に結びつくかを確認する。 直接材料費と直接労務費は指図書へ直課する。 製造間接費は予定配賦率などを用いて各指図書へ配賦する。 仕損費と作業屑は発生原因や発生先を見て負担先を決める。 完成した指図書だけを製品へ振り替え、未完成分は仕掛品に残す。
  5. 2:27判断手順取引事実または計算条件を確認し、使う勘定科目・計算順序・検算の順に進みます。
  6. 2:54確認ケース1製造指図書101と102がある。指図書101の直接材料費は30,000円、直接労務費は20,000円、作業時間は10時間。指図書102の直接材料費は18,000円、直接労務費は12,000円、作業時間は6時間。製造間接費は作業時間1時間あたり2,000円で配賦する。両方とも未完成である。各指図書の当月までの製造原価を求めよ。
  7. 3:24確認ケース2指図書201の原価計算表には、直接材料費40,000円、直接労務費24,000円、配賦製造間接費16,000円が集計されている。指図書202には、直接材料費25,000円、直接労務費15,000円、配賦製造間接費10,000円が集計されている。当月末に指図書201のみ完成し、指図書202は未完成であった。完成品原価と月末仕掛品原価を求めよ。
  8. 5:06確認ケース3指図書301について、当月に直接材料費50,000円、直接労務費30,000円、配賦製造間接費20,000円が集計された。さらに、この指図書に特定できる仕損費8,000円が発生した。また、この指図書から生じた作業屑を2,000円で処分できると見積もった。指図書301の最終的な製造原価を求めよ。
  9. 6:43よくある誤り直接材料費や直接労務費までまとめて製造間接費としてしまう。 完成した指図書にだけ製造間接費を配賦し、未完成の指図書を無視してしまう。 仕損費の原因を確認せず、どの指図書にも結びつけないまま処理してしまう。 作業屑の評価額を原価から控除せず、原価を過大にしてしまう。 原価計算表の合計と仕掛品・製品の金額のつながりを確認しない。
  10. 8:41まとめ個別原価計算では、製造指図書ごとに直接費を直課し、製造間接費を配賦して原価計算表を作成します。さらに、仕損費や作業屑の負担先を適切に判断することで、各注文の完成品原価が正しく求められます。指図書別に集計するという軸を崩さないことが最重要です。
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