外貨建取引:取引日から決算日の換算まで
外貨建の売上債権・仕入債務について、取引日、決済日、決算日の各場面でどのレートを使うかを整理し、為替差損益の考え方を学びます。未決済の期末換算と、決済時の差額処理を区別して理解します。
動画の視聴は会員向けですこの講で分かるようになること
外貨額ではなく円換算額の変化として考え、取引日・決済日・決算日の仕訳を区別できる。
- 為替差損益がいつ生じるかを説明できる。
- 外貨建売掛金と外貨建買掛金の換算方向を判断できる。
- 振当処理を所与の条件として記入できる。
前提知識
- 売掛金・買掛金、決算整理、月割計算の基本。
要点
- 取引日・決済日・決算日で使うレートを混同しない。
- 為替差損益は外貨額の差ではなく円換算額の差である。
- 外貨建営業債権と営業債務は期末に換算する。
- 未決済か決済済みかを先に確認して処理を分ける。
判断のルール
- まず外貨額を固定し、各日の円換算額を並べて比較する。
- 発生時は取引日の直物為替相場で仕訳する。
- 決済時は実際の受取額または支払額との差額を為替差損益にする。
- 決算時は未決済の外貨建金銭債権債務を期末相場で換算する。
例題
例題1外貨建売掛金の発生と翌月決済
3月10日に商品を米国へ販売し、代金200ドルは掛けとした。取引日の為替相場は1ドル=150円である。4月5日に売掛金200ドルを現金で回収した。この日の相場は1ドル=153円であった。必要な仕訳を示しなさい。
答え(3月10日の売上計上)借方:売掛金 30,000/貸方:売上 30,000 (4月5日の回収)借方:現金 30,600/貸方:売掛金 30,000、為替差益 600
考え方まず外貨額は200ドルで固定します。発生時は取引日の相場で円換算するので、200ドル×150円=30,000円です。したがって売掛金と売上を30,000円で計上します。次に決済日には実際に回収した200ドルを当日の相場で円換算し、200ドル×153円=30,600円となります。帳簿上の売掛金は30,000円なので、回収額のほうが600円多く、その差額は為替差益です。売掛金は発生時の帳簿価額で消し込み、差額だけを損益にします。
確かめ回収仕訳は借方合計30,600円、貸方合計30,600円で一致します。為替差益600円は30,600円-30,000円で確認できます。
例題2外貨建買掛金の発生と翌月決済
6月12日に海外の仕入先から商品を300ドル分仕入れ、代金は掛けとした。取引日の為替相場は1ドル=148円である。7月20日に買掛金300ドルを現金で支払った。この日の相場は1ドル=145円であった。必要な仕訳を示しなさい。
答え(6月12日の仕入計上)借方:仕入 44,400/貸方:買掛金 44,400 (7月20日の支払)借方:買掛金 44,400/貸方:現金 43,500、為替差益 900
考え方外貨額は300ドルで固定します。発生時は取引日の相場で換算するため、300ドル×148円=44,400円となり、仕入と買掛金をこの金額で計上します。支払日には300ドルを145円で換算するので、実際の支払額は300ドル×145円=43,500円です。帳簿上の買掛金44,400円より少ない円額で済んだため、差額900円は当社に有利な変動であり、為替差益になります。買掛金は帳簿価額で消し込み、支払額との差額を処理します。
確かめ支払仕訳は借方44,400円、貸方43,500円+900円=44,400円で一致します。差額900円は44,400円-43,500円で検算できます。
例題3決算日に未決済の外貨建売掛金を換算する
12月1日に商品を販売し、代金500ドルは掛けとした。取引日の為替相場は1ドル=140円である。12月31日の決算日において、この売掛金は未回収であり、決算日の相場は1ドル=146円であった。必要な仕訳を示しなさい。
答え(12月1日の売上計上)借方:売掛金 70,000/貸方:売上 70,000 (12月31日の決算整理)借方:売掛金 3,000/貸方:為替差益 3,000
考え方まず500ドルという外貨額を固定します。取引日には500ドル×140円=70,000円で売掛金を計上します。決算日には未決済なので期末換算が必要です。決算日の円換算額は500ドル×146円=73,000円です。帳簿価額70,000円との差額3,000円だけ売掛金を増額し、その有利な差額を為替差益として処理します。ここではまだ回収していないため、現金の仕訳は行いません。決済日と決算日の処理を区別することが重要です。
確かめ決算整理後の売掛金残高は70,000円+3,000円=73,000円となり、500ドル×146円の期末換算額と一致します。仕訳も借方3,000円、貸方3,000円で一致します。
よくある間違い
外貨額そのものが増減したように考えてしまう。
取引日のレートのまま期末残高を表示してしまう。
売掛金と買掛金で為替差損益の方向を同じ感覚で処理してしまう。
決済済みのものまで決算日に再換算してしまう。
この講の用語
- 外貨建売掛金がいかだてうりかけきん
- 外貨で回収する約束の売掛金。帳簿では各時点の相場により円換算して管理する。
- 外貨建買掛金がいかだてかいかけきん
- 外貨で支払う約束の買掛金。決済日や決算日に円換算額の差が生じることがある。
- 直物為替相場じきものかわせそうば
- その時点で直ちに受け渡しすると考える為替レート。取引日や決算日の換算に用いる。
- 為替差益かわせさえき
- 外貨建債権債務の円換算額が有利に変動したことで生じる利益。
- 為替差損かわせさそん
- 外貨建債権債務の円換算額が不利に変動したことで生じる損失。
- 振当処理ふりあてしょり
- 為替予約が付された債権債務について、指定された処理方法に従って記録する考え方。
章立て
- 0:00導入この講の到達目標と、問題文を読む出発点を確認します。
- 0:20中心概念2級の営業取引に伴う外貨建金銭債権債務と、決算時換算を扱う。
- 1:02重要用語外貨建売掛金、外貨建買掛金、直物為替相場、為替差益、為替差損、振当処理
- 1:43基本ルールまず外貨額を固定し、各日の円換算額を並べて比較する。 発生時は取引日の直物為替相場で仕訳する。 決済時は実際の受取額または支払額との差額を為替差損益にする。 決算時は未決済の外貨建金銭債権債務を期末相場で換算する。
- 2:06判断手順取引事実または計算条件を確認し、使う勘定科目・計算順序・検算の順に進みます。
- 2:39確認ケース13月10日に商品を米国へ販売し、代金200ドルは掛けとした。取引日の為替相場は1ドル=150円である。4月5日に売掛金200ドルを現金で回収した。この日の相場は1ドル=153円であった。必要な仕訳を示しなさい。
- 2:56確認ケース26月12日に海外の仕入先から商品を300ドル分仕入れ、代金は掛けとした。取引日の為替相場は1ドル=148円である。7月20日に買掛金300ドルを現金で支払った。この日の相場は1ドル=145円であった。必要な仕訳を示しなさい。
- 4:19確認ケース312月1日に商品を販売し、代金500ドルは掛けとした。取引日の為替相場は1ドル=140円である。12月31日の決算日において、この売掛金は未回収であり、決算日の相場は1ドル=146円であった。必要な仕訳を示しなさい。
- 5:49よくある誤り外貨額そのものが増減したように考えてしまう。 取引日のレートのまま期末残高を表示してしまう。 売掛金と買掛金で為替差損益の方向を同じ感覚で処理してしまう。 決済済みのものまで決算日に再換算してしまう。
- 7:38まとめ外貨建取引は、外貨額を固定し、取引日・決済日・決算日の各レートで円換算額を比べる学習です。発生時は取引日の相場、決済時は実際の受払額との差額、決算時は未決済残高の期末換算を行います。為替差損益は円換算額の差として捉えることが重要です。
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