【2027年度対応】リース:使用権資産とリース負債の仕組み
2027年度対応の借手側リース会計として、使用権資産とリース負債の考え方を、開始時・支払時・決算時の順に整理します。あわせて、利子込み法と利子抜き法、短期リース・少額リースの取扱いも確認します。
動画の視聴は会員向けですこの講で分かるようになること
借手側のリースを、開始時・支払時・決算時の三場面に分け、使用権資産とリース負債を処理できる。
- 利子込み法と利子抜き法の違いを説明できる。
- 短期リース・少額リースを賃貸借処理する場面を判断できる。
- 開始時・支払時・決算時の三場面で仕訳を分けて考えられる。
前提知識
- 有形固定資産の取得・償却、支払利息の基本。
ひとつ前の講:無形固定資産とのれん:取得から償却まで
要点
- 2027年度の借手側は、原則として使用権資産とリース負債で処理する。
- 問題は開始時・支払時・決算時の順に時系列で整理する。
- 利子抜き法では、負債の返済部分と支払利息を分ける。
- 短期リース・少額リースはオンバランスしない取扱いがある。
判断のルール
- 問題文で与えられた条件を確認し、まず原則処理か例外処理かを判断する。
- 原則処理では開始時に使用権資産とリース負債を計上する。
- 支払時はリース負債の返済を記録し、必要に応じて支払利息を計上する。
- 決算時は使用権資産の償却を行い、期間配分を完了させる。
例題
例題1利子抜き法で5年の営業用トラックを借りた場合
4月1日に営業用トラックを5年契約で借りた。利子抜き法で処理し、リース料総支払額は550,000円、うち利息相当額は50,000円、毎年3月31日に110,000円を支払う。定額法により利息を各年10,000円とし、使用権資産は5年で均等償却する。開始時、1年目の3月31日の支払時、同日の決算整理仕訳を示しなさい。
答え(開始時)借方:使用権資産 500,000/貸方:リース負債 500,000 (1年目支払時)借方:リース負債 100,000、支払利息 10,000/貸方:現金 110,000 (1年目決算時)借方:減価償却費 100,000/貸方:使用権資産減価償却累計額 100,000
考え方まず利子抜き法なので、開始時は支払総額550,000円から利息相当額50,000円を除いた500,000円で使用権資産とリース負債を計上します。次に毎年の支払110,000円のうち、利息は定額で10,000円と与えられているため、残り100,000円がリース負債の返済額です。さらに使用権資産は5年で均等償却するので、毎年の減価償却費は500,000円÷5年=100,000円となります。支払時の現金の動きと、決算時の費用配分を分けて考えるのがポイントです。
確かめ開始時は借方500,000円と貸方500,000円で一致します。支払時は100,000円+10,000円=110,000円で一致します。決算時も100,000円で一致します。1年目終了後のリース負債残高は500,000円-100,000円=400,000円、使用権資産の帳簿価額は500,000円-100,000円=400,000円です。
例題2利子込み法で機械を借りた場合
4月1日に機械を3年契約で借り、利子込み法で処理する。毎年3月31日に120,000円ずつ支払い、総支払額は360,000円である。使用権資産は3年で均等償却する。開始時、1年目の3月31日の支払時、同日の決算整理仕訳を示しなさい。
答え(開始時)借方:使用権資産 360,000/貸方:リース負債 360,000 (1年目支払時)借方:リース負債 120,000/貸方:現金 120,000 (1年目決算時)借方:減価償却費 120,000/貸方:使用権資産減価償却累計額 120,000
考え方利子込み法では、支払総額を基礎に使用権資産とリース負債を計上します。したがって開始時の金額は360,000円です。支払時は毎年の支払額120,000円をリース負債の減少として処理します。決算時には、使用権資産を3年で均等償却するので、減価償却費は360,000円÷3年=120,000円です。この例では、支払時に支払利息を別に分ける処理をしない点が、利子抜き法との違いとして確認できます。
確かめ開始時は360,000円で貸借一致です。支払時も120,000円で一致します。決算時も120,000円で一致します。1年目終了後のリース負債残高は360,000円-120,000円=240,000円、使用権資産の帳簿価額は360,000円-120,000円=240,000円となります。
例題3少額リースを賃貸借処理する場合
事務用機器について少額リースとして賃貸借処理を行う。4月1日に契約し、毎月月末に8,000円を支払う。4月30日に1か月分を現金で支払った。この場合の仕訳を示しなさい。
答え(4月30日の支払時)借方:支払家賃 8,000/貸方:現金 8,000
考え方問題文で少額リースとして賃貸借処理を行うと明示されているため、原則処理のように使用権資産やリース負債は計上しません。したがって、支払時に費用を認識する処理になります。ここでは月額8,000円を月末に支払っているので、4月30日に支払家賃8,000円を計上し、現金を減少させます。例外処理に当たるかどうかを最初に判断することが最重要です。
確かめ借方8,000円、貸方8,000円で一致しています。少額リースの賃貸借処理なので、使用権資産やリース負債が出てこないことを確認します。毎月同額支払なら、その月の費用は8,000円です。
よくある間違い
借手側でも毎期の支払額全額をそのまま費用にしてしまう。
利子抜き法で、リース負債の返済部分と支払利息を分けない。
開始時の計上を忘れ、支払時から処理を始めてしまう。
短期リースや少額リースなのに、使用権資産とリース負債を計上してしまう。
この講の用語
- 使用権資産しようけんしさん
- 借手がリース物件を使用できる権利を表す資産。開始時に計上し、利用期間にわたり償却する。
- リース負債りーすふさい
- 借手が将来支払うリース料に関する負債。支払時に返済部分を減額する。
- 利子込み法りしこみほう
- リース料総額を基礎に処理する考え方。各回の支払では主にリース負債を減らす。
- 利子抜き法りしぬきほう
- 利息相当額を除いた金額で開始時の資産・負債を計上し、各期に支払利息を別に認識する方法。
- 短期リースたんきりーす
- 一定の条件に当てはまる場合に、使用権資産とリース負債を計上せず、賃貸借処理が認められるリース。
- 少額リースしょうがくりーす
- 一定の条件により、短期リースと同様に賃貸借処理を行う取扱いが認められるリース。
章立て
- 0:00導入この講の到達目標と、問題文を読む出発点を確認します。
- 0:24中心概念2027年度2級の借手側処理、短期・少額リース、使用権資産の償却を扱う。
- 1:13重要用語使用権資産、リース負債、利子込み法、利子抜き法、短期リース、少額リース
- 2:00基本ルール問題文で与えられた条件を確認し、まず原則処理か例外処理かを判断する。 原則処理では開始時に使用権資産とリース負債を計上する。 支払時はリース負債の返済を記録し、必要に応じて支払利息を計上する。 決算時は使用権資産の償却を行い、期間配分を完了させる。
- 2:24判断手順取引事実または計算条件を確認し、使う勘定科目・計算順序・検算の順に進みます。
- 2:56確認ケース14月1日に営業用トラックを5年契約で借りた。利子抜き法で処理し、リース料総支払額は550,000円、うち利息相当額は50,000円、毎年3月31日に110,000円を支払う。定額法により利息を各年10,000円とし、使用権資産は5年で均等償却する。開始時、1年目の3月31日の支払時、同日の決算整理仕訳を示しなさい。
- 3:32確認ケース24月1日に機械を3年契約で借り、利子込み法で処理する。毎年3月31日に120,000円ずつ支払い、総支払額は360,000円である。使用権資産は3年で均等償却する。開始時、1年目の3月31日の支払時、同日の決算整理仕訳を示しなさい。
- 5:01確認ケース3事務用機器について少額リースとして賃貸借処理を行う。4月1日に契約し、毎月月末に8,000円を支払う。4月30日に1か月分を現金で支払った。この場合の仕訳を示しなさい。
- 6:17よくある誤り借手側でも毎期の支払額全額をそのまま費用にしてしまう。 利子抜き法で、リース負債の返済部分と支払利息を分けない。 開始時の計上を忘れ、支払時から処理を始めてしまう。 短期リースや少額リースなのに、使用権資産とリース負債を計上してしまう。
- 7:46まとめ借手側のリース会計は、開始時に使用権資産とリース負債を計上し、支払時に返済を記録し、決算時に償却や必要な利息計上を行う流れで理解します。利子込み法と利子抜き法の違い、そして短期リース・少額リースの例外処理を整理することが得点の土台です。
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